音を極める場所10

ここから先はグラスウールの貼り付け作業がひたすら続く。 ご存知だと思うが、 グラスウールの粉塵は非常に細かい。 それこそガラスの粒子が四六時中飛び交っている。 僕もアシスタントも完全武装で取り掛かるのだが、 貼り付けのほとんどをアシスタントがやってくれている。 その間に僕は別の重要な作業を進めていく。 グラスウールの貼り付けが完了したら、 粉塵を飛散させないためのシートを張っていく。 吸音効果を妨げないシート材料を模索したが、 近代木造住宅の外壁に使われている透湿防水シートが最適だと自ら判断した。 シート張りが終わったら、いよいよ仕上げパネルを張っていく。 有孔ベニヤという材料を僕はよく使っている。 子供の頃、小学校の音楽室には小さな穴が開けられたパネルが張られていた。 誰もがそれを音楽室特有の材料だと認識していたはずだ。 その材料が今でも製造されていることはとてもありがたい。 今回はそれを本土に特注した。 その理由は、一本の原木からパネルを製造してもらうことで自然の柄を統一したかったからだ。 「ここまでやる必要があるのか?」 と同業者に言われるかもしれないが、 僕はこう答えるだろう。 「できることをなぜやらないの??」 今回はそれをダークブラウンのエコステインで着色した。 この色は施主と一緒に決めた。 …

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音を極める場所9

DrブースとVoブースの基本間仕切りが終わったら、 メインブースの壁を作る。 もちろん空気層を作り、絶縁した独立壁を立てるということだ。 このように壁下地は躯体コンクリートから完全に離れている。 メインブースのカプセルが出来上がった。 続けて隣のコントロールルームの施工に取り掛かる。 コントロールルームには倉庫兼予備録音室が備わることになる。 その倉庫間仕切りを絶縁で作っていく。 コントロールルームの要となるオペレーションスペースを作る。 ここがレコーディングエンジニアの最も重要な仕事場になる。 設計の段階で綿密な打ち合わせをし、音響的に最も最適な形を確保した。 音を極めるための心臓部と言っても過言ではない。 この段階で、それぞれ5カ所のカプセルが出来上がった。 ようやく2段階目の吸音天井を施工していく。 これまで作ってきたものは「遮音」という概念の天井と壁だ。 詳しく説明すると、 外から入ってくるノイズ(ジェット機が飛んだり、雷が鳴ったりした時に室内に入ってくる音) を遮断することを重視した遮音壁と、 それぞれの楽器演奏者の楽器音が隣の部屋のマイクに入ってこないようにするための遮音壁、 を作ったことになる。 その次に作る物が「吸音」という概念の天井と壁…

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音を極める場所8

続いてDrブースとVoブースの防音壁と間仕切り壁を作っていく。 浮床の継ぎ目が間仕切りの空洞部分になるように1層目の防音壁を設置する。 Drブースを浮床に沿って囲っていく 続けてVoブースも囲っていく。 この時点で2つの宙に浮いたカプセルの部屋ができたことになる。 しかしこれはまだ第一段階に過ぎない。 普通の大工が理解できないような施工を更に続けていく。

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音を極める場所7

天井ボード張りを2回行ったあとは、例の窓を遮音していく。 初期段階で窓ガラスには「ガイナ」を塗ってある. これでガラス面の結露は完全に防いだ。 そのあとに塞ぎパネルを作り、さらにパネルにもガイナを塗り、窓にはめ込むのだが、 パネル自体は防振ゴムで浮かせて更に周囲に隙間を作り、その隙間をコーキングする。 コントロールルームとメインブースの防音窓になる部分に 「マグサ」という垂れ壁を作る。 ボードとグラスウールで複層にして作ってある。 消音フレキの周りをコーキングして隙間を無くしていく。 次に僕はあるものを自作した。 名付けて「絶縁パイプ」 各ブースには壁掛けエアコンを設置するのだが、 そのエアコン配管のための穴を遮音しなければならない。 躯体コンクリートから伝わる振動音を止めるために、 ゴムシートを使ってパイプを縁切りした。 躯体と防音壁の間は空間を作るため、その空間に合わせて防振する方法を自ら考えた。 製品として販売されていないものは 自分で作り出す。 僕がまだ20代の頃、 師匠がよく言っていた言葉がある。 「ジンブンは生きてるうちに使え!」 「ジンブン」とは沖縄の方言で 「知恵」だ。 大工仕事のほとんどが、ジンブンで成り立っている。

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音を極める場所6

浮き天井の下地を組み終わったあとは 最も重要な項目に取り掛かる。 密閉室で重要な換気設備を 自ら計画した。 昨年から空調設備業者と何度も打ち合わせをし、 なぜこのような計画をしなければならないのかをしっかり説明し 納得してもらった。 通常ではない空調計画をプロの業者に理解してもらうことは かなりのエネルギーを必要とする。 なぜなら事例がないわけだから。 しかし設計をした僕が自信を持ってそのプロに説明し 納得させなければならない。 それはその密閉室に閉じ込められて音を奏でる演奏者の命に関わることなのだから。 最終的にはその空調業者との息がぴったりと合った! これで空気の流れを完璧に行えるようになった。 それと同時に、電源設備と録音の要ともなる マイクケーブルの配線も行う。 電源設備も自ら設計した。 なので電源ケーブルの配線の際は 自分が電気屋のリーダーとなる。 この特殊配線を電気屋に説明してる暇はないし、 それを説明したところで全く理解してもらえないことは事前にわかっているから・・・ レコーディングエンジニアという施主の思いを、 僕がそのまま受け継いで配線していく。 施主と一体になることが僕の最も重要な仕事だ。 「消音フレキ」という特殊なダクトを使って各ブースへの分岐配管を行う。 それが完了したら、…

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音を極める場所5

土間コンクリートが乾燥するまでの間は、 屋上の遮熱塗装を施主と共に行った。 もちろん「ガイナ」を使って。 数年前、施主が現在使用している古い借家スタジオのスラブが灼熱地獄となり 僕がガイナを勧めたのが始まりだった。 その時も一緒に施工をした。 その結果スタジオ内の気温は驚くほど下がり、 エアコン光熱費も格段に安くなったという報告をいただいた。 施主と一緒に問題解決をしていくことは、 僕としては普通の行動である。 そして土間コン乾燥が十分になった頃、 スタジオ内のガイナ塗装を開始した。 施主も応援してくれた。 共にペンキ塗りという作業を通して心を通い合わせる。 しかしこれはただのペンキではない。 セラミックの機能を発揮させる大切な塗装だ。 アシスタントの繊細さは、この塗装作業にもしっかりと現れていた。 一度やり方を教えただけで、見る見るうちにベテランになっていく。 この塗装の目的は、 断熱、吸音、結露防止、防カビ、空気清浄・・・ なんとも頼もしい材料だ。 ガイナが乾燥したら防音天井の施工に入る。 防振ハンガーを天井全面に使用する。 基準となる角材を防振ハンガーにセットし、 高さを揃える。 躯体から完全に離れた浮き天井の下地を作る。

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音を極める場所4

音を奏でるための部屋の施工をしている間に 音を極める場所の躯体工事は完了していた。 そしていよいよ自分が設計した防音内装工事を始めていく。 先ずは各部屋の躯体写真を載せておく。 ここまでがメインブースとドラムブース、そしてヴォーカルブースとなる場所だ。 そしてここがコントロールルーム。 つまりレコーディングエンジニアである施主が音を極めていく場所となる。 高窓が見えるが、これは建築基準法の上で必要となる採光窓だ。 しかし・・・ レコーディングでは必要ない・・・。 ここから先は法律に触れてしまうので、 説明を止めることにする・・・。 そして、 浮床施工に入る。 予算の関係もあり、楽器を奏でるブースのみ浮床とすることにした。 壁周囲にはウレタンボードを水平に設置し、 防振ゴムを規則正しくセットしていく。 次にドラムブースのスペースにグラスウールを敷き詰める。 一度に全部敷き詰めないのには訳がある。 そのドラムブースにコンパネを敷いていく。 そこで僕の現場ツールとなっているのがこれ。 自分が設計した施工図をタブレットで確認しながら浮床を作っていく。 実は現場施工のシミュレーションを昨年からずっと続けていた…

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音を極める場所3

スラブ生コン打設に向けて鉄筋型枠設置と設備配管工事が進められている。 変形の建物であるがために、型枠大工は結構苦労していたようだ。 そして無事に打設完了。 側型枠をはずして乾燥させ、スラブサポートは4週間保存する。 次は内部の土間コンクリートの準備だ。

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音を極める場所2

基礎生コンが打設され、埋め戻しも完了した。 昨年リフォームを終えた母屋の2階から、施主が状況写真を撮ってくれた。 この写真から重要なことがわかる。 普通の建物は四角で作られていくが、 この建物は90°の角が一ヶ所しかない。 敷地も元々直角ではないのだが、 それに沿うように設計している。 あえてそうした訳なのだが、 音を奏でる部屋として、この不揃いの形がとても重要になる。 壁の型枠が組まれていく。 自分も隙を見ながら貫通孔のスリーブを設置していく。

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音を極める場所

いよいよ始まった。 昨年、いや一昨年から計画していた大仕事が今年・・・ 身を結ぶことになる。 昨年終わったリノベーション現場の完成記事で僕は書いた。 「これは序章に過ぎない」と。 そして本編がここから始まったわけだ。 現場にはしっかりと基礎杭が打たれ、そしてその上に地梁コンクリートが打設された。 本体工事は実績のある建設会社に任せている。 建物の基本設計は長年付き合いをしている一級建築士にお願いし、 内部の設計は施主の要望を確認しながら僕が行い、 それから建築士とコラボするというやり方だ。 このような不思議なやり方をするのは僕以外いないだろう・・・。 僕は長い時間をかけて施主と打合せをし、心の中を探り出し、 建築士に概要を細かく何度も説明し、様々な職人をこのプロジェクトに巻き込み、 さらに何度も何度も図面を書き換え、予算の問題をクリヤーし、 やっと実行へ導くことができた。 そしてこれからさらに増えて行く協力者と共に、 施主が大満足するものを皆で造って行く。 そのものは何か・・・ 僕はあえてこう名付ける。 「音を極める場所」 音の職人がここで新たな「ものづくり」を始めるために、 僕はその手助けをする。

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The Garage 5

忙しさはずっと変わらない・・・ 遅ればせながら経過報告としよう! 内部の壁を張り、着色塗装まで完了 そして施主が要望していたブラックの吊り棚を製作し設置すると・・・ 完成!! 実に楽しい仕事をさせていただいた。 またいつかやってみたい!

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The Garage 4

掛け持ち現場に追われ続け、ブログを中断していた。 再開! 鉄骨材の搬入 骨組みと屋根を組み立てる 外壁角波トタンを張り終え、電動シャッターも付いた 後方は勝手口と小窓を設置 土間のタイルをデザイン張り このあと遮熱塗料「ガイナ」を屋根と外壁に塗っていく そして僕は引き続き内装仕上げに取り掛かる これはもはやガレージというより、部屋だな・・・

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The Garage 3

雨水管の問題を解決する方法をずっと考えていた。 住宅建物からの雨水と奥の庭園の雨水をどうやって道路側溝へ導くか。 これから作るガレージの基礎がその行く手を遮る。 元々埋設されていた雨水管の直径は75ミリ。 それはすでに撤去した。 僕は設計の段階でその問題解決の方法を考えていた。 間口が狭いため、立ち上がり基礎の厚みはできるだけ薄くしたい。 鉄骨柱のサイズは75ミリ角。 立ち上がりにそれを乗せなければならない。 内装壁の厚み設計も決めた。(この関係はのちに説明する) 結果、基礎厚みは110ミリとした。(通常は150ミリ) 流し込むコンクリートの「かぶり」は最低でも40ミリは確保したい。 (かぶりとは、型枠と埋め込む鉄筋との隙間、つまり生コンの肉厚のこと、これが薄すぎるとのちにクラックが入り鉄筋が錆びる) 雨水管のルートは立ち上がり基礎の中を通すしかない。 そして決断した。 まず管径75ミリから50ミリへ絞り変換する。 それを基礎へ通すのだが、大雨の際、水量が絞られるため逆流が予測される。 ならば2つに分岐して両側へ通し、管径50ミリ×2本にすれば合計100ミリの管径と近くなる。 その配管を型枠内の鉄筋外側へ配置すれば室内側のかぶりも確保できる。 正確には50ミリ管の外径は60ミリある。 それでも110ミリ壁厚−60ミリ−鉄筋径10ミリで40ミリのかぶりが確保できる。 早速、水道設備屋へ配管工事を依頼し、その…

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The Garage 2

ガレージの入口となる部分のコンクリート擁壁を撤去しなくてはならない。 専門の解体屋へ依頼する。 この道具は彼らしか扱えない。 いくつかの大きさを使い分けて擁壁を壊していく。 ちなみにこれは中型ブレーカーで重さは20kg この斫り屋という職業があるおかげで、我々は建築工事を進めることができる。 大事な存在なのだ。 僕は30年間お世話になっている。 きれいに撤去された! ここから先は僕1人での製作作業に入る。 応援大工は全く手配できない。 深刻な人手不足はますますエスカレートしていく。 仕方がない・・・

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The Garage

久しぶりにとてもわくわくするお仕事をいただいた。 お客様のライフスタイルをより良くするために、僕のすべての力をそこへ注ぎます。 そして作るもの、それは 「ガレージ」 それは普通のガレージとは違う特別なもの。 僕は喜んで設計をした! すぐに専門業者を集めてプランを詰める。 お客様の要望を最大限に引き出す。 準備は整った。 さあ始めよう! 庭園を利用してスペースを確保する。 まずは植栽の撤去、さらに基礎工事の掘削を行う。 基礎地盤の転圧というとても大事な作業。 これを怠ると地盤沈下の原因となる。 ここまでは庭師の応援を頼み、2人で完了させた。

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洋風酒場2

仕事に追われ続けて更新がずっとできませんでした。 本日完成したのですが、完成写真はまだ撮れていません・・・。 工事中の写真を順序よく紹介していきます。 内装の壁下地を組立中 その間に外壁塗装も仕上がりました。 吊り棚の取付完了 カウンターも組立中 座敷の掘りごたつを組立中 長いカウンターが仕上がりました。 掘りごたつも仕上げ中 壁紙もすべて張り終え、木目の床タイルも完了です。 奥の厨房も形が見えてきました。 座敷もほぼできあがりました。 トイレのタイルは細めのブリック。新商品です。 通常トイレには使わない商品ですが、おもしろいことをやりたかったので 思い切って張っちゃいました! たぶん沖縄で初めての試みです。 明日は完成写真撮りに行ってきます!

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洋風酒場

古い付き合いのオーナーさんから久々のご注文です。 共同住宅を新築されたということで、 その1階ピロティ部分に店舗を作ります。 既にレイアウトの計画も進んでいたので、打ち合わせもスムーズに行えました。 まずは外壁のブロック積み。 室内のトイレ壁もブロックで作ります。 プロの職人が4人で来て、2日足らずで終わっちゃいました。 アルミサッシ枠を取付後、左官職人のモルタル仕上げが進んでいきます。 同時に室内の天井張り。 軽天職人が一人で頑張ってくれました。 続きはまた次回・・・。

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新築へ参加

新築工事の大工として現場に入っています。 同級生が建築会社を立ち上げたため応援という意味も込めて受注しました。 昨年末に依頼を受けて自分のスケジュールに組み込んでいたのですが やはり工程の大幅な遅れが生じ、予定が2ヶ月もずれてしまいました・・・。 自分の現場は変更不可のため、仕方なく掛け持ちでやることに。 気がつけば1週間に4件掛け持ちという恐ろしい事態になってしまったのです。 シンプルな外観の平屋です。 賃貸住宅となるそうです。 フローリングの施工をしているところです。 現場をハシゴするため、ここでは半日しか作業できません。 できる大工がいれば応援してもらいたいのですが・・・ いません。 ひたすら頑張るしかないのです。 でも、どんな状況であろうと 作ることに変わりはない。 きれいに、完璧に納めます。

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職人不足

いくつもの仕事を掛け持ちしておりますが、 こういう新築現場にも入っています。 ここは老人ホームの新築現場 僕はここで木工事の大工として仕事をしています。 3階建ての現場をほとんど1人で・・・ 今日は日曜日 実は毎週休み無くここに来ています。 他業者の職人さんも毎日曜がんばっていますが、 今日は珍しくだれも来ていませんでした。   1人で落ち着いて作業ができます! 今日は各部屋の引き戸枠の取付作業 既製品の枠を組立て、取付。 1人で出来るように治具も作ってきました。 中央にある杉材の柱が、僕の相棒となっています。 軽天屋さんが作った壁にはめ込んでいきます。 追加工事も次々と依頼されています・・・ 僕が掛け持ちしている各現場のオーナーさんは 皆同じことをおっしゃってきます。 「ジーノさん早めにお願いしますね!!」 沖縄の建築現場の職人が、 4400人不足しているそうですね・・・? 毎日のように電話がかかってきますよ。 「ジーノさん忙しいですか?応援できませんか?」 それはこっちの台詞なんですけど・・・ だれか、 体を2つに分ける方法教えてください。 できるだけ早めに。

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軽天屋

現場の忙しさと事務所の移転も重なり、ブログ更新が止まっていました。 さて、とある倉庫の内装工事中です。 建築内装の最初の仕事、軽天工事です。 文字通り軽い天井のこと。 軽量鉄骨を天井、壁に組んで石膏ボードを張っていきます。 これをやるのが「軽天屋」という職人さん。 しかしその軽天屋が・・・いない・・・。 今沖縄では異常事態と言われているほど、軽天屋、クロス屋が忙しいようです。 ですから、自分でやるしかないのです。 普段は木材を使って骨組みを作るので、軽量鉄骨は慣れてないんですよね。 でもやってみると、 早い! これは時々やっておくべきだと思いました。 まあ、小規模なら・・ね。 面積が大きいとさすがにきついでしょうね。 やはり餅は餅屋。 僕は木に専念します。

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