誰のために仕事をするのか

スタジオの施工に没頭している頃、 僕はあることがきっかけで過去に読んだ雑誌を自分の本棚から引っ張り出してきた。 これは2013年3月に発行された「PRESIDENT」 2010年、世の中を驚かせた「JAL」の倒産はまだ記憶に新しいと思うが、 そのJALを見事に再建させた人物といえば、 我々事業に携わるものとして知らない人はいないだろう。 経営の神様 稲盛和夫である。 当時この表紙を書店で見るや否や購入して読んだのを覚えている。 それを再び読みたくなったのは例の日曜ドラマの影響である。 ○○航空の経営陣を叱る直樹の勇気ある行動は、 この3月号に掲載されている「稲盛和夫会長」の言葉とほぼ同じだ。 ドラマの中で何度も発言する直樹の言葉 「お客様のため」 これに勝るものはないと思う。 僕が「松下幸之助」を心の師としていることは以前にも書いたが、 独立してから苦境に立たされている頃は松下幸之助の本を とにかく夢中になって読んでいた。 まだまだ未熟だった自分は、様々な人に裏切られるという経験を何度もした。 特にお客様から裏切られたときの悔しさは今でも忘れない。 その度に本を読み漁り"これは修行だ"と耐えてきた。 そんな中「京セラ」の創業者である稲盛和夫さんに興味を持ち始めていたのだが このJAL再建のストーリーを知り、松下幸之助に継ぐ経営の神様が 稲盛和夫…

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音を極める場所 完成!

自作防音ドアを取り付ける。 まずは枠を正確に設置する。 ドアの周囲に遮音パッキンを貼る。 これが僕の計算だったわけだ。 ドアを閉めた時に、枠との隙間が完璧にふさがるように4ミリを重視した。 枠の戸当たり側には厚さ12ミリのパッキンを貼る。 ドアの取付が完了したら、遮音コーキングを施す。 残りの巾木を貼り付けて、 自作防音ドアの施工が完了した。 全てが一回で成功、、というわけにはいかなかったが、 調整を繰り返しながらもぴったり収まった。 そして防音効果は・・・ 予想を上回った。 また一旦工場へ戻り、追加の製作を行う。 これをご存知だろうか。 キャノン1uラック 16チャンネル レコーディングスタジオの生命線となる機材だ。 工事中に「マルチケーブル」という特殊な配線を各ブースへ配置した。 それは一本のケーブルに16回線のマイクケーブルが組み込まれている。 これを16分割して各接続部へ繋ぐ作業が、施主の大仕事となるわけだ。 これを収めるための箱を作ってほしいという追加依頼があった。 もし、普通の大工なら、 何のことだかさっぱりわからないだろう。 音響設備を知っているからこそ この注文を受けることができる。 ご要望通り、作ってあ…

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仕事ができる人の話(ルーティンの共有)

ちょっと一息入れて普段の出来事を書きたい。 僕は仕事へ向かう前に必ず行うルーティンがある。 ルーティンの必要性について そのルーティンとは毎朝コンビニへ寄ってホットコーヒーとサンドイッチを買い、 現場や工場で朝食を取ることだ。 これは世の中のコンビニがコーヒーマシーンを設置し始めた頃からずっと続いている。 そしてコーヒーは必ずホットのSサイズでありブラック、 食事はサンドイッチでなければならない。 なぜそうなのかと言うと、 アイスコーヒーだと途中で氷が溶けて味が薄まり、まずくなる。 ホットのMサイズだと途中でぬるくなり後半は美味しくない。 どんなに暑い真夏でも、朝はホットしか飲まない。 サンドイッチは子供の頃から母親が毎朝サンドイッチを作っていたため、 大人になった今でも朝食はサンドイッチをほおばるのが 習慣となっているのである。 この2つのセットで体のスイッチがONになるわけだ。 みなさんもご存知の通り、沖縄のコンビニ3社のなかで レジ内で店員さんがコーヒーを注いでいるのは1社だけだ。 僕は自分の工場へ向かうルートにある某コンビニを、 かれこれ3年以上利用している。 そこは建築関係の客も多く、朝は作業着姿の人たちが多くレジに並ぶ。 朝の店員さんは当初からずっと変わっていない。 そのなかでもひときわ仕事ができる女性店員さんがいる。 僕がコーヒーとサンドイッチを買い続けて1年くらい経った頃だろうか。…

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音を極める場所17

再び工場へ戻って作業する。 縦枠、横枠の長さを1ミリの狂いも無いように揃えていく。 組み合わせ部分を丸ノコさくりで加工する。 枠の組み立てが終わった。 もう一度ドアに戻り、丁番さくりをしていく。 丁番の厚み、2.1ミリちょうどに彫り込んだ。 0.1ミリさえも逃さないのは、この後の防音密閉性に影響を与えるからである。 丁番を仮付けしたドアと枠を近づけ、 あとに付ける隙間パッキンの厚みも考慮しながら 丁番位置を枠に写し取っていく。 3つの丁番の狂いが無いように加工するにはこの方法が最適だ。 枠の墨付けが終わったら、ひとまずドア縁の着色塗装に取り掛かる。 塗装作業は工程が多いため、塗料の「乾き待ち」のあいだに別の加工をすれば 無駄な時間がなくなる・・・ という僕の仕事のやり方だ。 ドアを塗装スペースへ移動したら、次は枠の丁番さくりを進める。 枠側も2.1ミリの深さでぴったり揃える。 これでドアを閉めたときに、 丁番の内側で4ミリのパッキン用の隙間ができることになる。 この時点で加工作業はほとんど終わった。 ドアに取り付けるグレモンハンドルとパッキンは、まだ船で輸送中だ。 台風…

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音を極める場所16

さあ、最も重要な作業とは 防音窓(金魚鉢)のガラス取付である。 まずはコントロールルームとメインブースの窓から始める。 特殊な複層ガラス(2枚の合わせガラス)を3枚設置していく。 長年付き合いをしているガラス職人が来てくれた。 僕も協力してひたすらガラスを磨きながら押さえ枠を取り付けていく。 このようにメインブースからコントロールルームを見たときに 金魚鉢をのぞいているように見えることからその名が付いた。 そして3枚のガラスは垂直に設置してはいけないし、それぞれが平行になってもいけない。 それぞれが違う方向に傾いているのがわかるだろう。 これを平行に立てると 音がぶつかり合ってガラスが振動してしまう。 すべての角度をランダムにして、ぶつかった音を様々な方向に拡散させるわけだ。 続いてラウンジからの採光窓に取り掛かる。 こちらは2枚の複層ガラスを違う方向に傾斜させた。 重要な作業が終わった。 これで各部屋を無音状態にすることができる。 事実上レコーディングができるようになったということだ。 残すは防音ドアの設置。 また工場での製作に集中する。

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音を極める場所15

台風通過後、すぐに製作再開。 遮音シートの上にさらに下地パネル。 ここからは目地払いでエッジを整えていく。 最後の仕上げパネルを貼る。 下地の骨組みを合わせると、合計9層の組み合わせとなった。 エッジの押さえ縁を接着する。 パネル本体は出来上がり。 かなり重い! しかしドアの重量は防音性能に比例する。 続けてドア枠を加工していく 戸当たり部分は「さくり」で仕上げる。 組み立て前に一旦現場へ。 最重要作業を終わらせてくる。

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音を極める場所14

現場では施主による機材セッティングやマイクケーブルのハンダ付け作業が進んでいる。 その間、僕は工場にて最後の製作作業に入った。 倉庫兼予備録音室の防音ドアを自作する。 以前にも防音ドアを作ったことがあるが、その時はいくつかの改善点が見つかった。 今回はそれ以上のクオリティにするために何度もイメージトレーニングを行った。 4台も取付けた一流メーカーの防音ドアもじっくり観察し、 枠の形状や遮音パッキンの仕組みなどを細かくチェックした。 もちろん一流メーカーに匹敵するドアを作ることは不可能だが、 近づくことはできる。 職人として最善を尽くすことは施主に対しての礼儀だ。 仕上げパネルはコントロールルームの防音ドアに近い色柄を厳選しておいた。 下地パネルも含めて一気に下切りする。 大型台風に備えてひとまず待機。 被害が少ないことを祈る。

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音を極める場所13

旧盆前の追い込み。 台風も新たに迫っている。 いよいよメインの大仕事! コントロールルームの防音窓を手作りしている。 音振動を絶縁するため、本体を二つに分けて作っている。 塗装も自ら行う。 メインブースとの境目とラウンジとの採光窓を取り付けた。 業界用語ではこの防音窓を「金魚鉢」と呼んでいる。 その理由はガラスが入ったあとに分かるのでのちに説明することとする。 そして明日からは施主の引越し作業が始まる。 まだ完成ではないが、写真を撮っておかなくては! メインブースからコントロールルームを見る メインブースから全部屋を見る この場所にグランドピアノが入る予定だ。 コントロールルームの防音ドアはダークブラウンにした。

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音を極める場所12

録音ブース3部屋の壁が仕上がったら床張りに取り掛かる。 まずは15ミリ厚の下地合板を浮床コンクリートに固定していく。 下地が完了したらいよいよ防音ドアを設置。 まずは録音ブース3カ所の防音ドアの設置が完了した。 それから仕上げフローリングを張っていく。 Dr,ブースは仕上がった。 Vo,ブースも完了。 メインブースの床も張り続けていく。

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音を極める場所11

現場は追い込みがかかっている状態で、 完成まで僕は休みを取らないことにした。 そんな最中、アシスタントが出勤前にギックリ腰を自宅でやってしまった! 彼女にとっては生まれて初めてのギックリ腰だったらしい。 こんな時に・・・ 仕方ないが休ませるしかない。 ギックリ腰”数十回”経験者の僕は早い回復を願うべく、 メールでアドバイスを送り続けた。 とにかく忙しいので各作業のコメントは追って書くことにした。 とりあえず状況写真を・・・ メインブースの吸音壁を作っていく。 ドラムブースとボーカルブースの吸音壁 コントロールルームも同様に行う。 これはDrブース壁のコーナー部分にグラスウールを新たに入れている。 同様に飛散防止シートを張って仕上げていく。 Voブースのコーナーも同じ。 メインブースの天井コーナーには空調ダクトが通っていたが、 それを覆うように仕上げていく。 対面のコーナーも同様に行う。 これは室内音響において、とても重要な施工となる。 我々は施工中に何度も手を叩いて「フラッターエコー」が起きていないかを 確認する。 フラッターエコーとは、90度に近い角の部分で起こる バネを弾いたような残響音の…

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