音を極める場所6

浮き天井の下地を組み終わったあとは 最も重要な項目に取り掛かる。 密閉室で重要な換気設備を 自ら計画した。 昨年から空調設備業者と何度も打ち合わせをし、 なぜこのような計画をしなければならないのかをしっかり説明し 納得してもらった。 通常ではない空調計画をプロの業者に理解してもらうことは かなりのエネルギーを必要とする。 なぜなら事例がないわけだから。 しかし設計をした僕が自信を持ってそのプロに説明し 納得させなければならない。 それはその密閉室に閉じ込められて音を奏でる演奏者の命に関わることなのだから。 最終的にはその空調業者との息がぴったりと合った! これで空気の流れを完璧に行えるようになった。 それと同時に、電源設備と録音の要ともなる マイクケーブルの配線も行う。 電源設備も自ら設計した。 なので電源ケーブルの配線の際は 自分が電気屋のリーダーとなる。 この特殊配線を電気屋に説明してる暇はないし、 それを説明したところで全く理解してもらえないことは事前にわかっているから・・・ レコーディングエンジニアという施主の思いを、 僕がそのまま受け継いで配線していく。 施主と一体になることが僕の最も重要な仕事だ。 「消音フレキ」という特殊なダクトを使って各ブースへの分岐配管を行う。 それが完了したら、…

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音を極める場所5

土間コンクリートが乾燥するまでの間は、 屋上の遮熱塗装を施主と共に行った。 もちろん「ガイナ」を使って。 数年前、施主が現在使用している古い借家スタジオのスラブが灼熱地獄となり 僕がガイナを勧めたのが始まりだった。 その時も一緒に施工をした。 その結果スタジオ内の気温は驚くほど下がり、 エアコン光熱費も格段に安くなったという報告をいただいた。 施主と一緒に問題解決をしていくことは、 僕としては普通の行動である。 そして土間コン乾燥が十分になった頃、 スタジオ内のガイナ塗装を開始した。 施主も応援してくれた。 共にペンキ塗りという作業を通して心を通い合わせる。 しかしこれはただのペンキではない。 セラミックの機能を発揮させる大切な塗装だ。 アシスタントの繊細さは、この塗装作業にもしっかりと現れていた。 一度やり方を教えただけで、見る見るうちにベテランになっていく。 この塗装の目的は、 断熱、吸音、結露防止、防カビ、空気清浄・・・ なんとも頼もしい材料だ。 ガイナが乾燥したら防音天井の施工に入る。 防振ハンガーを天井全面に使用する。 基準となる角材を防振ハンガーにセットし、 高さを揃える。 躯体から完全に離れた浮き天井の下地を作る。

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音を極める場所4

音を奏でるための部屋の施工をしている間に 音を極める場所の躯体工事は完了していた。 そしていよいよ自分が設計した防音内装工事を始めていく。 先ずは各部屋の躯体写真を載せておく。 ここまでがメインブースとドラムブース、そしてヴォーカルブースとなる場所だ。 そしてここがコントロールルーム。 つまりレコーディングエンジニアである施主が音を極めていく場所となる。 高窓が見えるが、これは建築基準法の上で必要となる採光窓だ。 しかし・・・ レコーディングでは必要ない・・・。 ここから先は法律に触れてしまうので、 説明を止めることにする・・・。 そして、 浮床施工に入る。 予算の関係もあり、楽器を奏でるブースのみ浮床とすることにした。 壁周囲にはウレタンボードを水平に設置し、 防振ゴムを規則正しくセットしていく。 次にドラムブースのスペースにグラスウールを敷き詰める。 一度に全部敷き詰めないのには訳がある。 そのドラムブースにコンパネを敷いていく。 そこで僕の現場ツールとなっているのがこれ。 自分が設計した施工図をタブレットで確認しながら浮床を作っていく。 実は現場施工のシミュレーションを昨年からずっと続けていた…

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音を奏でるための部屋 完成

壁紙が仕上がり、空調設備も完了した。 最後はきれいにクリーニングして完成! 換気設備には「ロスナイ」を取り入れた。 全熱交換器というシステムだ。 これ一台で吸排気を同時に行いながらも部屋の温度を変化させない。 密閉室には最適だ。 お客様はとても、とても、とても喜んでくださった。 お客様のご協力のおかげで僕もじっくり落ち着いて仕事ができた。 契約の際、僕は設計図と全ての仕様書、そして見積もりと工程表を提示する。 この見知らぬ建築屋が特殊な工事をさせていただくために、 そして信用していただくために、 僕はゆっくりと概要を説明する。 そして契約書にお互いの署名をし、工事が始まるのだが、 僕はこの時点ではお客様からの信頼は無いと思っている。 本当の信頼関係が生まれるのは、 工事を完了したあとだ。 お客様が契約書の通りにこの建築屋がいいものを作ってくれたと認めた瞬間、 この人に頼んでよかったと・・・本気で思ってくれたなら・・・ この言葉が出る・・・ 「ほんとうにありがとうございました!」 今日は最高の笑顔でこの言葉をいただいた。 そして信頼関係が成立した。 見知らぬこの僕を信用してくれて、 ほんとうにありがとうございました。 今回の工事ではもちろん改善すべき点も見つかった。 だからこれからも勉強を…

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音を奏でるための部屋9

天井仕上げには「ロックウール吸音板」を使う。 天井は楽器の音が特に跳ね返るため、 このような低い天井には吸音が必要になる。 天井が仕上がったら床仕上げに入る。 床には防音ドアの色味に合わせたダークブラウンの「合板フロアー」を張る。 そして次に床巾木を張っていくのだが、 音響を良くするために壁の角度を変えた4隅は この巾木張りがやりやすくなるように角度計算をしておいた。 それは60度と30度だ。 巾木を付き合わせるときにその角度を2分割すればいい。 うまくいった! これで全ての大工仕事が完了した。 あとは壁紙職人が来るのを待つ。

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音を奏でるための部屋8

防音壁の設置も最終段階に入った。 躯体の梁があった部分も、空間を作りながら防音していく。 最終層の木下地を組んだあとに再びグラスウールを詰めていく。 寝室がある廊下側の壁は、空間部分も含めると厚みが50センチほどになった。 いよいよ防音工事のメインとなる防音ドアの設置を始める。 ドア枠を慎重に、精密に、0.5ミリの狂いもなく取り付ける。 そして重いドアを吊り込む。 いよいよ後半戦だ。

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音を奏でるための部屋7

防音壁の施工が続く。 グラスウールを詰めて、石膏ボードで閉じていく作業を四方同様に行う。 さらに2枚目のボードを重ね貼りする。 とても地道な作業をひたすら繰り返していくが、 頭の中には常に完成したときのイメージが描かれている。 この時点で出来高55%ぐらいだ。

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長〜いテーブル2

連休中はずっと工場で製作を進める。 長テーブルのエッジの厚みを大きくするために エッジ周りだけをさらに複層した。 これはオーナーからの長テーブルだけを厚くしてほしいというご要望から 独自で考案した方法だ。 全体を同厚にするとテーブル自体の高さが上がってしまうため この方法を思いついた。 なぜならテーブル脚は既存使用のため 高さが決まっているからだ 3種類の天板の下地が完了した。 別の2種類がミニサイズに見えるが・・・ 木口の仕上げにメラミン化粧板を貼っていく。 アール加工は特に慎重に行う。 全ての木口を仕上げる。 それから天板を貼るための速乾ボンドを吹き付ける。 いよいよ最終仕上げの段階になる。 規格外のサイズなので仕上げメラミンは中心から2分割することにした。 天板貼り付けが終わったら、エッジの目地払いと面取りをする。 大方9割の加工が終わった。 何とか連休中に下準備ができた。 改装工事の段取りはこれから決めていくが、 下請け業者の見積もりとスケジュールも 集約して施主へ提示する。 結局今月は現場3件の掛け持ちとなる。 これでも制限しているが・・・ 今回はやるしかない。 …

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長〜いテーブル

緊急事態宣言の中、大型連休が始まった。 防音工事の現場はとりあえずお休みにしたが、 僕は別顧客からも注文を受けている。 連休中はどこにも行くことができないし、 誰とも会わないのであればと 工場でひとりで仕事をすることにした。 顧客は以前僕が設計施工した「Bar」のオーナーだが、 その後も長年お付き合いをさせていただいている。 その店はコロナウイルスの影響でずっと閉店せざるを得なくなっているのだが、 その間に改装工事をしたいというご要望だった。 飲食店などが厳しい状況と向き合っている中で、 建築関係の仕事が続けられることは 本当に感謝しなければならない。 そして受注したテーブル製作を連休中にやっておくことにした。 テーブルは3種類作るのだが、 その中でも特注サイズとなるのがこれだ。 長さは3.8メートル 4メートル近くもある単独のテーブルは完全に規格外だ。 合板を複層で組み合わせてその長さを作ることにした。 重さが心配だが、体を痛めないように気をつけなければならない。 幅と長さを決めたら4角をアール加工していく。 明日もゆっくり頑張ろう。

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ドイツと日本の共通点

うちのドイツ人アシスタントは元々友人なのだが、 仕事などの付き合いをしているうちに色々とドイツについての興味も増えてきた。 ドイツ人と日本人は性格が似ているということを以前から聞いてはいたが、 僕のアシスタントと仕事をしているとそれが事実だということを認識できる。 このキーホルダーはアシスタントからもらったものだ。 ちなみに、アシスタントの手作り。 器用であり、忍耐力もあることがよくわかる。 ちょっと一息入れて、ドイツと日本の面白い共通点を書きたいと思う。 それは言語のこと。 僕とアシスタントは普段は英語で話しているが、 こんなことがよくある。 例えば僕がこう問いかける These plasterboards thickness has 2 types that 9.5 Mm and 12.5 Mm. Did you know that? 日本語に訳すと 「この石膏ボードの厚みってさ、9.5ミリと12.5ミリの 2種類があるんだよ。知ってた?」 それを知らなかったアシスタントの口から とっさに飛び出す言葉がこれだ。 Ach so ! これ、ドイツ語だ。 その発音をあえてひらがなで書く。 「あっ そう!」 日本語の「ヘェ〜そうなんだ!」とか「あっ そうだったの!」 とか言うのと意味は全く同じ。 この Ach so ! …

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