2018年09月07日

寡黙な職人ほど信用できる説

今日は他社の工場へ出向いた。
来週施工予定の現場で合計35枚の収納建具を取り替えることになっていて、
その建具製作をここへ依頼しているからだ。

建具というのは様々なデザインがあり、それを決めるのは自分の仕事だ。
今回は木目の化粧合板を主体とし、縁(ふち)を塗装仕上げする計画にした。
35枚を現場で塗装するとなると、それはもう大変な作業になってしまう。
なぜなら施主は普通に生活をしているため作業スペースも限られてしまい、
なおかつ塗料の匂いなどが部屋に充満してしまうからだ。
僕は建具屋の社長に相談し、工場の一角で塗装作業をさせてもらうことを事前にお願いしていた。

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こちらの職人たちの邪魔にならないよう、離れたスペースを使わせてもらった。
この建具屋とはとても長い付き合いだ。
先代の社長が急病で他界し、現在は息子さんが引き継いでいる。
その息子さん含め4人の職人が働いている。
厳しかった先代の遺志をしっかりと受け継いでいると僕は感じる。

工場では機械の音とラジオの小さな音が聞こえている。
それ以外の話し声はほとんど無い。
時折、製作方法の確認をする会話がポツポツと聞こえて来る程度だ。

実に、寡黙である。

そして、この職人たちの技術はハンパなく高い!
僕は、彼らのことがとても好きだ。
同じ職人として信頼できる。


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この工場には様々な機械が設置されている。
我が工場の10倍ほどの種類は持っているだろう。
1ヶ月だけでもいいから、ここで働いてみたい。
もちろん無給でいい。
すべての製作工程を見せてもらえるなら、お金を払ってでも経験したい。
美しい建具を一から作る工程は、ずっと見ていられるだろう・・・。


職人という仕事は、このように他の優れた職人を見ることで感化されていくと思う。
その意識を絶やさないことがレベルを上げていく唯一の方法ではないだろうか。



かたや工事現場ではこんな労働者をよく見かける。
小一時間作業したかと思えば、喫煙所でタバコを吸いながら仲間とおしゃべり。
それもかなり長い。
戻ってきてしばらく働くとまた次の10時休憩30分間をしっかり取り、
さらに1時間も経たないうちにまた喫煙所でおしゃべり。
12時前には弁当を買いに出かけ、食後はぐっすりお昼寝。
午後も全く同じ行動を繰り返す。

給料泥棒というのはまさにこいつらだ。

そいつらを雇っている社長は、僕の仕事をけっこう珍しそうに見ている。
休憩を取らないから、すごい真面目だな・・・と思っているのかもしれない。

僕は心のなかでつぶやく。

あんたの従業員が喫煙とおしゃべりを減らせば、僕も少しは休めるだろうね・・・。
あんたのお客様は完成を待ち望んでいるはずだから、僕は手を止めないよ。



僕はこう思う。

最高の仕上がりは、口数ではなく手数で決まる!

この説は絶対正しい。





posted by Jino at 19:40| Comment(0) | 製作風景 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月27日

見積りを寝かせる

沖縄の旧盆休みの間は、ずっと見積り作業に追われていた。
普段は現場施工に出なければならないため、世の中が休みの時は見積りや経理の仕事に集中することになる。
業者や顧客からの電話もほとんど掛かってこないので、この時ばかりは仕事もはかどる。

見積りという作業は全ての仕事の中で最も重要と言っていいだろう。
金額をミスしたら利益はすぐに吹っ飛ぶ!
通常の建築会社は、見積り担当部署で積算しているのが一般的だと思う。
その担当は現役大工でもなければ何かの施工者でもないというのは普通である。
施工をやらない人物が積算するのだから、それはそれは責任重大だ。
だからこそプロの積算士が存在している。

僕の見積書は、とても細かい。施工をしているから当然そうなる。
僕は自分で蓄えたデータを確認しながら、まだ始まってもいない工事現場の中へ入っていくというイメージを持ちながら積算を進める。
現場調査の記憶と写真と実測記録を見ながら何度も現場施工のシミュレーションをする。
そして見積りがまとまったあと、必ずやることがある。
見積りを一晩寝かせるのである。

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同時に僕も床に就く。
すると必ず現場で施工している夢を見る。
人間の脳というのは実に面白い。
見積書に抜けている部分を、夢の中で発見するのだ!
目が覚めた時、しばらく床に就いたまま夢で見たイメージを再確認する。
おもむろに起きて電源を切らないでおいたノートパソコンを開くと、昨日までの見積書がすぐに立ち上がる。
抜けた部分を追加して、見積り完了となる。

現場に追われている時は悪夢に魘されることも多いが、このように大事なことを気づかされることもよくある。
右脳を使い続けるこの仕事が、僕は好きだ。





posted by Jino at 17:19| Comment(0) | ちょっと一息 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月22日

The Garage 5

忙しさはずっと変わらない・・・
遅ればせながら経過報告としよう!

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内部の壁を張り、着色塗装まで完了


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そして施主が要望していたブラックの吊り棚を製作し設置すると・・・


完成!!


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実に楽しい仕事をさせていただいた。
またいつかやってみたい!




posted by Jino at 22:42| Comment(0) | 建築工事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年07月15日

The Garage 4

掛け持ち現場に追われ続け、ブログを中断していた。
再開!


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鉄骨材の搬入

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骨組みと屋根を組み立てる

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外壁角波トタンを張り終え、電動シャッターも付いた

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後方は勝手口と小窓を設置

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土間のタイルをデザイン張り


このあと遮熱塗料「ガイナ」を屋根と外壁に塗っていく

そして僕は引き続き内装仕上げに取り掛かる
これはもはやガレージというより、部屋だな・・・










posted by Jino at 17:34| Comment(0) | 建築工事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月02日

The Garage 3

雨水管の問題を解決する方法をずっと考えていた。
住宅建物からの雨水と奥の庭園の雨水をどうやって道路側溝へ導くか。

これから作るガレージの基礎がその行く手を遮る。
元々埋設されていた雨水管の直径は75ミリ。
それはすでに撤去した。

僕は設計の段階でその問題解決の方法を考えていた。
間口が狭いため、立ち上がり基礎の厚みはできるだけ薄くしたい。
鉄骨柱のサイズは75ミリ角。
立ち上がりにそれを乗せなければならない。
内装壁の厚み設計も決めた。(この関係はのちに説明する)
結果、基礎厚みは110ミリとした。(通常は150ミリ)
流し込むコンクリートの「かぶり」は最低でも40ミリは確保したい。
(かぶりとは、型枠と埋め込む鉄筋との隙間、つまり生コンの肉厚のこと、これが薄すぎるとのちにクラックが入り鉄筋が錆びる)

雨水管のルートは立ち上がり基礎の中を通すしかない。
そして決断した。
まず管径75ミリから50ミリへ絞り変換する。
それを基礎へ通すのだが、大雨の際、水量が絞られるため逆流が予測される。
ならば2つに分岐して両側へ通し、管径50ミリ×2本にすれば合計100ミリの管径と近くなる。

その配管を型枠内の鉄筋外側へ配置すれば室内側のかぶりも確保できる。
正確には50ミリ管の外径は60ミリある。
それでも110ミリ壁厚−60ミリ−鉄筋径10ミリで40ミリのかぶりが確保できる。


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早速、水道設備屋へ配管工事を依頼し、その後自ら鉄筋型枠を組み立てていく。


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2日ほどかけて鉄筋型枠の組み立てが完了した。



すでに生コン会社、圧送屋、左官屋の手配は済ませていた。
生コン打設の準備は整った。

打ち込み開始!


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少雨傾向の梅雨空には心配が絶えないが、こういう状況では逆にありがたい。
結局最後まで雨は降らなかった。
曇り空が続いたので、生コンの急激な乾燥を抑えることもできた。


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工程通りに打設が完了した。
生コン強度を確保するために2日ほど放置し、そのあいだ別の掛け持ち現場へ移動する。

施主へ硬化後のコンクリートへの散水をお願いした。
おそらく楽しんでやってくれるだろう。
梅雨の雨が復活すればなおいい!






posted by Jino at 21:52| Comment(0) | 建築工事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

The Garage 2

ガレージの入口となる部分のコンクリート擁壁を撤去しなくてはならない。
専門の解体屋へ依頼する。


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この道具は彼らしか扱えない。
いくつかの大きさを使い分けて擁壁を壊していく。
ちなみにこれは中型ブレーカーで重さは20kg
この斫り屋という職業があるおかげで、我々は建築工事を進めることができる。
大事な存在なのだ。
僕は30年間お世話になっている。

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きれいに撤去された!


ここから先は僕1人での製作作業に入る。
応援大工は全く手配できない。
深刻な人手不足はますますエスカレートしていく。

仕方がない・・・




posted by Jino at 15:25| Comment(0) | 建築工事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

The Garage

久しぶりにとてもわくわくするお仕事をいただいた。
お客様のライフスタイルをより良くするために、僕のすべての力をそこへ注ぎます。

そして作るもの、それは
「ガレージ」
それは普通のガレージとは違う特別なもの。
僕は喜んで設計をした!

すぐに専門業者を集めてプランを詰める。
お客様の要望を最大限に引き出す。
準備は整った。
さあ始めよう!


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庭園を利用してスペースを確保する。
まずは植栽の撤去、さらに基礎工事の掘削を行う。


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基礎地盤の転圧というとても大事な作業。
これを怠ると地盤沈下の原因となる。

ここまでは庭師の応援を頼み、2人で完了させた。



posted by Jino at 11:54| Comment(0) | 建築工事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月05日

リノベーションの技術 2

この仕事は下請け大工として受け持っている。
他の専門業者の動きに合わせながら進めることになる。


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既存の在来工法の浴室が無くなり、新たにユニットバスが導入された。
たった1日で工事が終わってしまうからすごい!
在来だと1週間はかかる。


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続けてシステムキッチンが入る予定なのでその部分をまずは優先する。
L型キッチンの寸法に合わせて袖壁を作るのだが、その際クリアランスの計算が重要になってくる。
設計図は左側にガスコンロ、右側にシンクが備わる計画だ。


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シンク側には壁や障害物が来ないためそれほど収まりに気を使う必要はない。
注意しなければならないのはガスコンロ側の袖壁の設定である。


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コンロ側キッチンカウンターの長さは1650ミリとなっている。
大工が袖壁を作るのだが、この寸法より1ミリでも小さくなればキッチンが入らないということになる。

そこで逆算をしながら壁下地の位置を決める。
カウンター1650ミリ + コーキングクリアランス5ミリ + キッチンパネル3ミリ×2 + 接着テープ・ボンド厚2ミリ×2 + 合板6ミリ=1671ミリ
この寸法が袖壁下地基準杉材の墨出しとなる。

はっきり言って、この計算を間違う大工も大勢いる。
キッチンが搬入されてから作った壁を壊しているところを何度か見たことがある・・・(笑)

キッチンパネルを貼り、吊り棚補強下地を設置するまでが大工の仕事だ。
つまりキッチン取付業者がすぐに取付工事を始められるように準備しておくわけだ。


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無事にキッチンが取り付けられた。
その間、自分は脱衣室とトイレ空間を作る。


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まずは床と天井を作り直し、ユニットバスを囲うように壁を作り、洗濯機や洗面台が設置されるための壁も作る。
水道屋、電気屋と連携しながら進める。


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元々キッチンの出窓だった部分にトイレがめり込む形になったため、出窓を2つに分けて左側をトイレ専用の飾り棚にした。
その作り方に元請けからの指示はない。自ら考案する。



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トイレのドア枠や脱衣室入り口引き戸枠も自ら作り、取り付ける。
同時に和室の敷居鴨居や押し入れもゼロから作り始める。



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敷居鴨居、引き戸枠の周りを化粧合板で仕上げていく。


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押し入れの中も専用合板で仕上げながら作っていく。


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押し入れが完成した。
襖は既存を使うことになっていたので、敷居鴨居はそれに合わせてリニューアルしたことになる。

残るは引き戸とトイレドアの加工取付。
建具は自ら設計し、建具屋に注文しておいた。
それにドアハンドルや引き戸錠を取付し、建て込む。
これが最後の大工仕事となる。
時間は午後6時を回った。
このゴールデンウィークはまだ1日も休めていない。
今日で完了させて明日から2日間の休暇を取るつもりで動いている。


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建具取付もすべて完了した頃、外で大きな音が鳴り始めた!





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フェスティバルの花火が上がった。
住宅密集地の現場なので見えないと思っていたが、ちょうどビルの間から上がっている!なんてラッキーだ!
完成と同時に祝福されたような、不思議な状況ができあがった。




この仕事の達成感を誰かに味わってほしいと、いつも思っている。

責任を負うことは常に苦しみをも伴う。
しかしやり遂げることで、そのすべては喜びに変換される。

いつまでもその繰り返しだと思う。
それを続けなければ技術は向上しないと思う。


さあ!しっかり休んでまた始めよう!!






posted by Jino at 13:13| Comment(0) | 住宅リフォーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

リノベーションの技術

昨今のプレカット木造新築工事が増え続ける中、
僕はリノベーション工事を多く受け持っている。

大工の技術は様々だが、リノベーションに関しては特に経験と知識が豊富でなければならない。
そういう”出来る”大工も次々と引退する年齢となり、残っている我々世代が最後と言ってもいい。
なおかつ、大工を続けている人も少ない。
新たな人材を育てたいが、皆自然と楽な道へ流れていくのが現状である。

仕方ないことだが休みを削ってひたすら考え、作り続けるしかない。
しかし、考え抜いて完成させた時の達成感に勝るものはない!


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まずは既存浴室のコンクリート壁の解体に備えて、周辺の木部を撤去していく。
とは言っても、ただ大雑把に撤去するわけにはいかない。
生かす部分をどうやってうまく残していくのか、現場から離れたあとも常に考えなければならない。


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コンクリート壁の解体が終わった。

さて、ここから頭をフルに回転させてイメージを練り上げていく。


次に続く・・・








posted by Jino at 02:05| Comment(0) | 住宅リフォーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月12日

対荷重の床を作る2

下地合板を張り終えたあとは、いよいよフローリング張り。

準備された材料はセランガンバツという非常に硬く重い無垢の集成材。

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割り付けを計算して一列ずつ張っていく。
ここでまた重要な施工がある。
3列に一回程度、梱包に使われていたバンドを挟んで0.5ミリほどのわずかな隙間を設ける。
建築材料というのはすべてにおいて伸縮、変形する。
木の場合「あばれる」という表現をよく使う。
クリアランスを適度に設けることで、継ぎ目の盛り上がりを防ぐことができる。


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最後は周囲の目地をコーキングして完了。



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ここにピアノが置かれたあとは、
そのピアノが置かれていた別棟のリフォームが待っている。

次はどんな問題が発生するのか、
楽しみだ!




posted by Jino at 10:49| Comment(0) | 住宅リフォーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする